プロダクトローンチとエバーグリーンの違い

ファネル・ローンチ設計

プロダクトローンチとエバーグリーンローンチのどちらを選ぶかは、調べるほど迷いが深くなる問いです。この二つを分けているのは売上の大きさでも新しさでもなく、販売の期日を誰が持っているかという一点にあります。本稿では軸を立てたうえで、自分の側を判定するところまで扱います。

どちらを選ぶかが、比べるほど決まらない

どちらにも支持があり、優劣では答えが出ない

この二つを比べた解説は数多くあります。読み比べると、どちらにも熱心な支持があることに気づきます。

ある解説は祭りのような瞬発力を称え、別の解説は静かに回り続ける仕組みを勧めるでしょう。どちらの主張にも実例が添えられています。

読み終えて残るのは、どちらにも言い分があるという印象だけです。比較を開くほど、自分の場合はどちらかという問いからは離れていきます。

答えが出ないのは、情報が足りないからではありません。優劣という物差しそのものが、この問いに合っていないためです。

実例が添えられていることも、判断を助けません。どちらの側にもうまくいった事例があるからこそ、比べても決まらないのです。

派手なほう・新しいほうという基準は使えない

もう一つ、判断に使われがちなのが話題の量です。よく語られているほうが有効なのではないか、という見方になります。

他の分野では通用する見方でしょう。ただ、販売の設計に持ち込むと外れます。

実際には、どちらの形もいまだに並んで使われています。一方が消えていないのは、それぞれ別の仕事をしているからです。

置き換えの関係にないものを並べても、順位はつきません。要るのは、違いを一本の軸で言い切ることです。

そしてその軸は、売上の大きさの側にはありません。売り方の構造の側にあります。

比べる軸は、販売の期日を誰が持っているか

期日が売り手の側にあるか、買い手ごとにあるか

見るのは商品の中身ではありません。販売の形のほうです。

軸を立てるために、販売が締め切られる瞬間を思い浮かべてみます。そのとき、期日を決めているのは誰でしょうか。

プロダクトローンチでは、期日を売り手が持っています。何月何日に締め切ると決め、その一日に全員の判断が集まります。

エバーグリーンローンチでは、期日を買い手ごとに持っています。ある人が入口を通った日を起点に、その人だけの締切が動き出します。

ここが二つを分ける根になります。全員の判断が一日に集まる形と、判断が毎日どこかで起きている形。同じ販売でも、要る稼働と残るものが変わります。

この違いは、扱う商品の中身では埋まりません。同じ講座でも、期日をどちらに置くかで別の売り方になります。

締め切る日を決めているのが誰かという問いは、単純です。ただ、そこから出てくる差は小さくありません。

この一点で、要る稼働も残るものも変わる

期日を売り手が持つ場合、その日に向けて稼働を集める必要があります。告知も対応も、期日の前後に固まります。

期日を買い手ごとに持つ場合、稼働は日々に薄く分散します。誰かの締切が今日あり、別の誰かの締切が明日あるという形です。

この軸で見ると、費用や難易度の話が後ろに下がります。どちらが楽かを比べる前に、自分の事業は稼働を集められるのかという問いが立つからです。

では、この軸に照らすと、それぞれの形はどう見えるでしょうか。順に見ていきます。

期日を売り手が持つ売り方

一つの日に、全員の判断が集まる

先に、期日を売り手が持つ側から見ます。こちらは目にする機会が多い形です。

実際の流れはこうです。数週間かけて告知を重ね、期日を告げ、その日に向けて問い合わせが増え、締切の当日に申込が集中する。

この形には、いくつかの特徴が伴います。まず、判断が同じ日に重なる点です。

迷っている人も、その日までに決めなければならないという事情が働きます。そして周りにも同じ判断をしている人がいることが、そのまま後押しになります。

もう一つ、期日があることで検証が早く済みます。売れるかどうかの答えが、数週間で返ってくるからです。

だから、この側で用意すべきものは絞られます。期日までの数週間に何を出すかという、時間の設計が中心になります。

だから瞬発力があり、翌月には残らない

この形にはもう一つ、周りへの波及があります。販売期間の盛り上がりそのものが話題を作り、知られていなかった相手にも名前が届きます。

もう一つの特徴は、終わった後に残るものが少ないことです。期日を過ぎると、その仕組みは動きを止めます。

翌月にも売りたい場合、もう一度組み直すことになります。告知の文面も、集める作業も、前回のものをそのまま再利用しにくいからです。

この性質から、売上の形が決まります。山と谷が交互に並ぶ形になり、谷の期間は次の山の準備に充てられます。

そして山が高くなるほど、次の山への期待も上がっていくでしょう。同じ規模では物足りなく感じられるという、基準の側の変化が起きます。

一方の、期日を買い手ごとに持つ形は、この点でまったく違う構造をしています。

期日を買い手ごとに持つ売り方

訪れた人ごとに、その人の販売が始まる

続いて、期日を買い手ごとに持つ側です。片方だけ厚く書くと、比べる材料になりません。

置き場所が入れ替わっただけに見えて、動き方はまったく違ってきます。

こちらも実際の流れで見ます。ある人が入口を通ると、その日を1日目として案内が順に届き、数日後にその人だけの締切が来る。

事業者の側から見れば、毎日どこかで誰かの締切が訪れている状態です。特設の催しではなく、常に開いている店に近い形になります。

ここで起きるのは、稼働と売上の切り離しです。告知の当日に立ち会わなくても、その人の販売は進みます。

だから、この側で用意すべきものも変わります。誰が入っても同じように進む順番を、先に作っておくことが中心になります。

ただし、この形も放っておいて回るわけではありません。入口へ人が入り続ける仕組みは、別に用意する必要があります。

だから積み上がり、瞬発力はない

もう一つの特徴が、稼働の平準化です。告知の山を作らないため、他の仕事と並行しやすくなります。

成果の出方は、前者とちょうど裏返しです。一日あたりで見れば小さくなります。

立ち上げた直後は、動きがほとんど見えません。入口を通る人が少ないうちは、締切も少ないためです。

そのぶん、作ったものは消えません。一度組んだ流れは、次に訪れた人にも同じように働きます。

見落としやすいのが、測り方です。前者と同じ物差しを当てると、この形は必ず低く出ます。

一日の売上なら、集中させたほうが大きくなって当たり前です。その差を成績として並べても、判断には使えません。

もう一点、この形は放っておいても回るわけではありません。入口へ人が入り続ける仕組みが別に要ります。

片方だけに頼ると、何が起きるか

二つの形が見えたところで、片方だけに寄せた場合に何が起きるかも見ておきます。実務でよく見かけるのは、期日を売り手が持つ側だけで回している状態です。

この状態で起きることは、三つに分解できます。

一つ目は、稼働が積み上がらないことです。告知のために作った文面も、集めた熱量も、期日を過ぎると次へ持ち越せません。

二つ目は、谷が構造として組み込まれることになります。販売の翌月に売上がゼロ近くまで落ちるのは、運営が悪いのではなく、そういう形をしているからです。

三つ目は、成果が本人の稼働と発信力に強く結びつくことです。注目を一点へ集める作業は、代わりの人が担いにくくなります。

この三つは、期日を売り手が持つという構造から必然的に出てきます。手法の欠陥ではなく、瞬発のための構造に持続の役割まで背負わせた結果です。

例外もあります。扱う商品が季節性の強いもので、その時期にしか売れないなら、この形が土台のままでも噛み合います。

自分の事業がどちらに向くかを判定する

直近1年の売上を月ごとに並べる

軸の説明はここまでです。ここからは、自分の事業がどちらに向くかを実際に判定します。

用意するのは、直近1年の売上だけです。月ごとに12個の数字を並べます。

見るのは、山と谷の差です。数回の山にほとんどが集まっているのか、それとも毎月それなりに立っているのか。

あわせて、もう一つ確かめます。数週間にわたって告知を続け、問い合わせに対応し続ける稼働を、いま作れるかどうかです。

紙に12個の数字を書き出すだけで足ります。かかるのは15分程度です。

正確な金額でなくて構いません。多い月と少ない月の差が見えれば、判定には足ります。

判定と、結果ごとの次の一手

二つの数字が出たら、組み合わせて読みます。山谷の激しさと、稼働の余力の二軸です。

行き先は三つあり、どれに当たるかで始める側が変わります。

山谷が激しく、稼働を集める余力もないなら、期日を買い手ごとに持つ側から始めます。谷を埋める仕組みが先に要るためです。

売ったことのない商品を持っているなら、期日を売り手が持つ側から始めます。検証に必要なのは「売れるか」への速い答えで、これは期日がある形のほうが早く出ます。

毎月それなりに立っていて、稼働の余力もあるなら、どちらからでも構いません。この場合は次章の順序の話に進みます。

どの結果でも、始める側が一つに決まります。両方を眺めたまま止まるという状態が残らない点が、この手順の効き目です。

両方を使うなら、順序を決める

同時に始めない理由

判定が済んだら、いずれもう一方も足す段階が来ます。そのときにやりがちなのが、同時に立ち上げることです。

合理的に見えますが、うまくいきません。どちらも作りかけの状態になり、片方が回らない原因を切り分けられなくなるからです。

そして稼働は分散します。期日を集める形は準備に山を作り、日々動く形は毎日の手入れを求めるため、時期が重なると両方が薄くなります。

そして、片方を作りかけたまま次へ移ると、どちらも判断できません。回らなかった原因が、設計の不足なのか時期の問題なのかを切り分けられなくなるためです。

そして、片方が回っているかどうかは数字で分かります。判定に使った12個の数字を、そのまま翌年も並べ直せば足ります。

土台に置くのはどちらか

順序を決めるなら、土台に置くのは日々動く側になります。理由は二つあります。

一つ目は、こちらが谷を埋める役割を持っているためです。土台があれば、期日を集める形を足したときに山だけが乗ります。

二つ目は、本人の稼働への依存を下げるのがこちらだからです。依存を下げたいなら、下げる働きを持つほうを先に置くという順序になります。

逆に、集める形を土台にすると、山を上げるたびに同じ稼働が要ります。積み上がらないものの上には、次の階を載せられません。

順序を守れば、後から足す側の準備も軽くなります。土台の側で作った案内や順番を、そのまま流用できるためです。

そして、この判定は一度で終わりにしません。事業の段階が変われば、向く形も変わるためです。

四半期に一度ほど、同じ12個の数字を並べ直せば足ります。判定の手順そのものは、何度でも使えます。

新しい売り方が話題になったときも、見る場所は同じです。名前ではなく、その形では期日を誰が持つのかを確かめれば、どちらの仲間かが分かります。

総括:分けるのは手法の名前ではなく、期日を誰が持つか

本稿では、二つの売り方を一本の軸で分けました。売上の大きさでも新しさでもなく、販売の期日を誰が持っているかです。

期日を売り手が持つ形では、全員の判断が一日に集まります。瞬発力があり、検証も早く済むのが利点でしょう。その代わり、終わると仕組みは止まります。

期日を買い手ごとに持つ形では、判断が毎日どこかで起きています。一日の成果は小さく、その代わり組んだものが残ります。

この差は手法の優劣ではなく、期日の置き場所から来ています。同じ物差しで一日の売上を比べても、判断材料にはなりません。

今日できるのは、直近1年の売上を月ごとに12個並べ、山と谷の差を見ることです。あわせて、数週間の稼働を集められるかも確かめます。15分ほどで終わります。

山谷が激しく余力もないなら、日々動く側から始めます。売ったことのない商品なら、期日を集める側から検証します。

両方を使うなら、土台に置くのは日々動く側です。積み上がらないものの上には、次の階を載せられないからです。

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