商品ラインナップの考え方。顧客の成長で階段をつくる

ファネル・ローンチ設計

商品を増やしたほうがよいことは分かっている。それでも、次に何を作るかが決まらない。この状態で止まっている事業者は少なくありません。

本稿では、商品の並びを決めているのが売り手の作りたい順ではなく、顧客ができるようになる順だという見方を整理します。読み終えたときに、手元の商品の並びを自分で点検できる状態を目指します。

次の商品に、何を作ればいいのか

増やしたほうがいいのは分かっている

一つの商品で回している状態には限界があることは、多くの方が感じています。買ってくれた人に次を渡せず、売上が毎月ゼロから積み直しになるからです。

この構造については、記事「フロントエンドとバックエンドとは?利益が生まれる場所」で扱いました。本稿はその先、商品が三つ以上になったときの並べ方を見ていきます。

増やすべきだと分かっていても、手が止まる。止まっている理由は、作る力の不足ではなく、何を作るかを決める基準がないことにあります。

作れるものから作ると、決めやすい

基準がない状態で決めようとすると、判断は作りやすさに寄ります。得意な分野、すでに素材がある分野、以前から話したかった内容。

この選び方には、はっきりした利点があります。着手が速く、完成まで持っていける確率も高いからです。

ただ、この基準で選んだ商品は、既存の商品との関係を持ちません。並べたときに、なぜその順で並んでいるのかを説明できない状態になります。

そして説明できない並びは、買う側からも読み取れません。作り手が説明できないものを、読者が推測してくれることはないからです。

ここで確かめておきたいのは、作りやすい順で選ぶこと自体が誤りではないという点です。手が動くものから始めるのは、実務では正しい判断でしょう。

問題になるのは、作った後で並びを整えないことのほうです。作る順番と、並べる順番は別の判断だからです。

先に作ったものを後ろへ置き直すことも、途中に別の段を挟むこともできます。作った順に並べる必然性は、どこにもありません。

作りたい順に並べると、買った人が迷う

得意な順に並んだ棚で起きること

実際に、作りやすい順で増やした結果を見てみます。商品ページには複数の商品が並び、それぞれに説明が付いています。

並んでいるもの自体は、どれも中身のあるものでしょう。問題は、その中の一つを買った人が、次にどれを選べばよいかを判断できないことです。

それぞれが独立した説明になっているため、比較の軸がありません。読者は価格を見るか、タイトルの印象で選ぶことになります。

結果として、多くの人は選ばずに終わります。並べたことで選択肢が増え、選ぶ作業が読者の負担として発生したからです。

皮肉なのは、増やした側の意図が逆だったという点でしょう。選べる幅を広げたつもりが、選べない状態を作っていることになります。

そして、この結果は数字にも表れにくいものです。商品が増えた分だけ全体の売上が少し伸びれば、成功したように見えるからです。

次にどれを選べばいいかが、読み取れない

ここで起きているのは、案内文の不足ではありません。並び自体に順序がないため、案内しようにも根拠がないという状態です。

「次はこちらがおすすめです」と書くには、なぜそれが次なのかという理由が要ります。理由が事業側にもなければ、書けるのは印象だけになります。

そして印象で勧められた商品は、買った後に噛み合わないことがあります。前の商品で得た状態と、その商品が前提としている状態がずれるからです。

ずれた場合、読者は「自分には合わなかった」と受け取ります。実際にずれていたのは中身ではなく順序なのに、商品の評価として記憶されるのです。

並びを決めているのは、顧客がどこまで来たか

一段が高すぎれば足が届かない

では、何を基準に並べればよいのでしょうか。基準になるのは、こちらが渡したい順ではなく、顧客ができるようになっていく順です。

階段にたとえると分かりやすくなります。一段が高すぎれば足が届かず、低すぎれば登る理由がありません。

商品の並びで問われているのは、それぞれの段の立派さではなく、隣り合う段の間隔です。

そして間隔は、価格の差では測れません。金額が近くても、要求される前提が大きく違えば、そこには高い段差があります。

逆に、価格が大きく開いていても、間隔が適切な場合もあります。前の商品で得た状態が、次の商品の前提をちょうど満たしているという形です。

実務でよく見かけるのは、価格帯を先に決めてしまう進め方でしょう。入門・標準・上級と枠を作り、そこへ内容を当てはめていくやり方です。

この順序だと、枠を埋めることが目的になります。先に決めるべきなのは価格の刻みではなく、顧客が通る段階のほうです。

隣の段との差を、一文で書けるか

間隔を測る方法は単純です。隣り合う二つの商品について、その間に顧客が何をできるようになったかを一文で書きます。

「一つ目で自分の商品の対象者を決められるようになり、二つ目でその人に届ける導線を組めるようになる」。この形で書ければ、二つの間に順序があります。

書けない場合、二つは並列に置かれているだけです。順番を入れ替えても意味が通るなら、そこにあるのは階段ではなく棚でしょう。

なお、この一文は宣伝文句である必要はありません。自分の頭の中で並びを確かめるための作業なので、社内の言葉で書けば足ります。

そして、書けた一文はそのまま案内にも使えます。「一つ目を終えた方は、次にここで詰まります」という形に変えれば、案内文の骨格になるからです。

順序を確かめる作業と、案内を書く作業は分かれていません。並びに理由があれば、案内はその理由を書き写すだけになります。

高い商品を出すことへの、引け目

値付けを下げてしまう場面

並びを設計しようとすると、多くの方が同じ場所でつまずきます。後ろに置く商品の価格を、思い切って付けられないという場面です。

この引け目には、事情があります。自分の提供するものにそこまでの価値があるのか、という疑いが残るからでしょう。

ただ、この疑いは中身への評価ではなく、値付けに慣れていないことから来ている場合が多いものです。実際、同じ内容でも他人の商品なら妥当だと判断できたりします。

そして下げた価格は、そのまま提供の内容に跳ね返ります。価格を下げれば、その金額の範囲でしか時間を使えなくなるからです。

下げた分だけ、渡せるものも減っていく

ここが見落とされやすい点です。値下げは、買い手にとって得になるとは限りません。

手厚い支援を前提とした商品を安く出せば、支援の量を減らすか、人数を増やすかのどちらかになります。どちらを選んでも、一人あたりに渡せるものは減ります。

結果として、安く買えたのに成果が出ないという状態が生まれます。買い手にとっての価値は、価格ではなく到達点で決まるからです。

だとすれば、価格を決める順序も見えてきます。先に決めるのは、その商品でどこまで届けるかという到達点のほうです。

到達点が決まれば、必要な時間と手間が計算できます。価格は、そこから逆算して置く数字になります。

この順序で決めると、引け目そのものが薄れます。金額の根拠が自分の感覚ではなく、届ける内容の側にあるからです。

説明を求められたときにも、答えは決まっています。どこまで届けるためにどれだけの時間を使うのか、をそのまま伝えれば済みます。

「商品は少ないほうがいいのでは」という疑問

品数を増やす話ではない

ここまで読んで、商品は少ないほうが分かりやすいのではないか、と感じた方もいるはずです。この指摘はもっともなものです。

本稿で扱っているのは、品数を増やすという話ではありません。いまある商品の並び順に理由があるかどうか、という点です。

商品が二つしかない場合でも、順序は問えます。一つ目を受けた人が二つ目へ進む理由が言えるかどうか、という問いは同じように立つからです。

むしろ、順序が通っていれば品数は少なくて済みます。並びに理由がないから、埋めるためにもう一つ作るという発想が出てくるのです。

売れない原因を品揃えの少なさに求めると、作る作業が止まりません。作っても順序は生まれないため、また次を作ることになります。

この循環に入ると、制作に時間を取られて既存の商品の改訂が止まります。増えるのは点数だけで、一つひとつの中身は薄くなっていくでしょう。

成長は人それぞれ、でも課題が出る順は似ている

もう一つの疑問は、顧客の成長は人によって違うのだから、一本の階段では表せないというものでしょう。これも実務では避けて通れない論点です。

到達したい場所が人によって違うことは、そのとおりです。ただ、そこへ向かう途中で解けている必要のある課題には、共通の並びがあります。

誰に届けるかが決まらないうちは、何を届けるかも決まりません。何を届けるかが決まらないうちは、どう届けるかを考えても手が動かないでしょう。

並べる対象は個別の到達点ではなく、課題が現れる順のほうです。ここが共通していれば、一本の並びで多くの人に対応できます。

そして、途中から入る人がいても構いません。すでに解けている課題があるなら、その段を飛ばして次から始めればよいだけです。

飛ばせるかどうかを判断できるのも、並びに理由があるからです。それぞれの段で何ができるようになるかが書かれていれば、読者は自分の位置を照らし合わせられます。

逆に、並びが棚のままだと飛ばす判断もできません。自分がどこにいるかを測る目盛りが、そもそも用意されていないからです。

価格順に並べて、間に一文を書き込む

この間に何ができるようになったか

ここからは、並びを目に見える形にする作業です。書き出す場所を一つ用意すれば、20分ほどで終わります。

まず、いま扱っている商品を価格の安い順に一列に並べて書きます。無料の提供物がある場合は、それを先頭に置いてください。

次に、隣り合う二つの間に一行を挟み、そこに「この間に顧客が何をできるようになったか」を書き込みます。商品の説明ではなく、顧客の状態の変化を書くのがこの作業の要点です。

全部の間について書き終えたら、いったん手を止めます。ここまでで、並びに順序があるかどうかは目に見える形になっています。

書けなかった箇所が、そのまま段差

書けなかった箇所が一つでもあれば、そこが並びの切れ目です。切れ目には、二つの種類があります。

一つは、間が空きすぎている場合です。前の商品を終えた人が、次の商品を受けるだけの前提を持てていないという状態になります。

この場合に必要なのは、間に一つ挟むことです。ただし新しく作る前に、既存の商品を分割できないかを確かめる価値があります。

後ろの商品の前半部分が、そのまま中間の段になることは珍しくありません。作らずに済むなら、そのほうが速く並びは整います。

もう一つは、二つが並列に置かれている場合でしょう。どちらを先に受けても成り立つのであれば、それは階段ではなく選択肢です。

選択肢であること自体は問題ありません。問題になるのは、選択肢を階段のように案内していて、読者が順番を探してしまう場合です。

この場合は、並びを直すのではなく案内を直します。「どちらを先に受けても構いません」と書くだけで、読者の迷いは消えるからです。

この一枚は、一度書けば長く使えます。商品を足すたびに、どの位置へ入るかをその紙の上で確かめればよいからです。

入る位置が決まらない商品は、そもそも作らないという判断もできます。並びの上に置き場所がないものは、作った後も置き場所がありません。

総括:並びを決めるのは、売り手の都合ではなく顧客の到達点

本稿では、商品ラインナップの並びを、作りやすさの順ではなく顧客ができるようになる順として整理しました。作りやすさで選んだ商品は既存の商品との関係を持たず、並べても順序が生まれないからです。

順序のない並びでは、買った人が次を選べません。案内を足しても解けないのは、案内する側にも根拠がないためです。

問われているのは、それぞれの段の立派さではなく、隣り合う段の間隔です。

後ろの商品の価格を付けられないときは、先に到達点を決める順序に戻ります。価格を下げれば渡せる量も減るため、安くすることが買い手の利益になるとは限りません。

顧客の成長が人それぞれであっても、途中で解ける必要のある課題の並びには共通性があります。並べる対象は個別の到達点ではなく、課題が現れる順のほうです。

顧客の成長が人それぞれでも、課題が現れる順には共通性があります。並べる対象は個別の到達点ではないため、一本の並びで多くの人に対応できます。

明日その場でできることは、商品を価格順に並べ、隣り合う二つの間に「この間に何ができるようになったか」を書き込むことでしょう。所要時間はおよそ20分です。

書けなかった箇所が見つかったら、間が空きすぎているのか、二つが並列なのかを見分けます。前者なら間を埋め、後者なら案内の書き方を変えるだけで足ります。

次に何を作るかという問いは、この一枚を書き終えた時点でほとんど答えが出ています。空いている場所が、そのまま作るべきものだからです。

そして、空いていなければ作らないという判断もできます。並びが通っているなら、次にすべきなのは増やすことではなく、いまある段の中身を厚くすることでしょう。

磨くほうを選んだ場合も、どこを厚くするかは同じ紙から読み取れます。間の一文が薄かった箇所が、そのまま補強すべき場所だからです。

この一枚があると、増やすか磨くかの判断も同じ紙の上で下せます。作る前に置き場所を確かめるという習慣が、そのまま迷いを減らしていきます。

【無料】WEBマーケティング設計学【序論】

ここまで読んで、目の前の施策ではなく「集客・教育・販売の全体設計」から考える視点に関心を持たれた方へ。

その考え方を根っこから学べるのが、3日間の無料メール講座『WEBマーケティング設計学【序論】』です。

学び終える頃には、なぜ良い商品でも売れないのかを自分の言葉で説明できるようになり、人が「買う」と決めるまでの心理と、一度きりで終わらせないための設計の勘所が、ひとつの地図としてつながって見えるようになります。個別のノウハウを追いかける前に、まず全体像をつかみたい方に向けた内容です。

ご登録後すぐに最初のメールをお届けします。費用はかかりません。

▶ 無料で【序論】を受け取る