ファネルはどこから直すか。壊れた一段の見つけ方

ファネル・ローンチ設計

導線を一通り作ったのに成果が伸びないとき、多くの人は導線の全部を疑い始めます。集客も、登録の入口も、案内の文章も、売り方も、どれもが悪い気がしてくるからです。

けれども、実際に手を入れるべき場所は、たいてい一段だけです。ファネルの改善をどこから始めるかを、壊れた一段を見つけるための比べ方と手順として整理していきます。

成果が出ない。しかし、どこが悪いのかが分からない

導線の改善で最初に立ちはだかるのは、直す技術ではありません。どこを直すのかを決める段階です。

数字が全部低いとき、何が起きているのか

月末に管理画面を開くと、流入も、登録も、売上も、そろって低い数字が並んでいる。事業を立ち上げて間もない時期には、ごく普通に起こる光景です。

厄介なのは、どの数字も低いために、どこが原因なのかを読み取れないことにあります。全部が悪く見えるので、全部に手を入れたくなるわけです。

しかし、数字が並んで低いことと、原因が並んで存在することは、まったく別の話です。低い数字の個数と、壊れている箇所の個数は一致しません。

症状の広がりは、原因の広がりではない

導線は、前の段の出口が次の段の入口になる直列の構造を持っています。なぜなら、接点で出会った人だけが登録へ進み、登録した人だけが案内を読むからです。

つまり、上流の一段が細くなれば、その下流にある段の数字はすべて小さくなります。下流の数字が低い理由の多くは、下流が壊れているからではなく、そこへ届く人が少ないからです。

症状は導線の全体に広がりますが、原因は一点にとどまっていることが多い。だからこそ、最初にやるべきは修理ではなく、位置の特定になります。

なお、導線そのものの全体像については「セールスファネルとは?売れる導線の全体像」で扱っています。本稿は、その全体像を持ったうえで、どの一段に手を入れるかという話に絞ります。

全部を直そうとする人が、いちばん遠回りになる

位置を特定せずに動くと、多くの場合は「全部を直す」という判断になります。熱心な人ほど、この道に入りやすいものです。

同時に変えると、何が効いたのかが分からなくなる

全部を同時に良くしたほうが早いのではないか。この考え方は、決して的外れではありません。時間が限られているなら、一度にまとめて片づけたくなるのが自然でしょう。

ただ、導線の改善には、同時に動かすほど結果が読めなくなるという性質があります。理由は単純で、変更が複数あると、数字の変化をどれか一つに結びつけられなくなるからです。

同じ月に、案内ページの見出しも、登録の入口の位置も、送る文章の本数も変えたとします。翌月に数字が上向いたとして、どれが効いたのかは誰にも分かりません。

同時に三つ変えて数字が動いても、その成功をもう一度は再現できません。改善の目的は今月の数字を上げることだけでなく、次に打つ手の精度を上げることにもあるのです。

一度に一つだけ変えれば、動いた数字はその変更の結果だと言い切れます。手数は減りますが、手元に残る判断材料は確実に増えていきます。

加えて、時間も注意力も有限です。効き目の薄い段に注いだ労力は、効き目の濃い段から奪ってきたものだと考えたほうが実態に近いでしょう。

作り直しのほうが、原因を探すより気が楽になる

成果が出ないときに、サイトの全面リニューアルへ向かう例は珍しくありません。この判断そのものを否定するつもりはありません。見た目が古びていれば、作り直しが必要な場面もあるでしょう。

ただ、作り直しには、原因を突き止める作業を省けるという副産物がついてきます。どこが悪いのかを考え続けるより、全部を新しくするほうが、気持ちのうえでは楽なのです。

そして作り直したあと、数字が変わらなければ振り出しに戻り、変わったとしても理由は分かりません。費用と時間を使ったのに、次に活きる判断材料が手元に残らないという結果になりがちです。

代わりに置ける手はあります。作り直す前に、どの一段が原因なのかを一度だけ見に行く。それだけで、直すべき範囲は大きく狭まります。

壊れた一段は落差で見える。並べるのは人数ではない

では、どこが壊れているのかをどう見つけるか。ここで多くの人がつまずくのは、比べる対象の選び方です。

人数を並べても、上流ほど大きく見えるだけ

接点に触れた人は多く、登録した人はそれより少なく、購入した人はさらに少ない。これは壊れているかどうかとは関係なく、導線という構造上、必ずそうなります。

したがって、各段に残った人数の大小をいくら眺めても、壊れた場所は浮かんできません。いちばん人数の少ない段が、いちばん悪い段だとは限らないのです。

「売上の数字がいちばん小さいから、まず販売を直す」という判断が空回りしやすいのは、このためです。販売の段は、構造上いつでもいちばん小さくなります。

見るのは、一つの段から次の段へ進んだ割合

並べるべきは、隣り合う二つの段の間の「通過」です。ある段に入ってきた人のうち、次の段へ進んだ人がどれくらいいたのか。この比だけが、段そのものの状態を映します。

見るべきは各段に残った人数ではなく、一つの段から次の段へ進んだ割合です。人数は上流の規模に引きずられますが、通過の割合は規模の影響を受けにくいという性質があります。

催しの会場にたとえるなら、入口を通った人数ではなく、入口から受付へ、受付から席へ、席から説明の場へと、それぞれの扉を通り抜けた割合を見るということです。

手元で並べるものも、これと同じです。接点から登録への通過、登録から案内への通過、案内から申込の入口への通過。この並びを縦に書き出すところまでが下ごしらえになります。

扉ごとの通過を並べて初めて、人が引き返している扉が浮かび上がります。ただし、ここまではまだ準備であり、判断はこの先にあります。

どちらがどうなっていれば、壊れていると言えるのか

通過を並べたところで、その数字が高いのか低いのかは、それだけでは決まりません。判断には、比べる相手が必要です。

比べ方その一。過去の自分と並べる

比べる相手として、外に出回っている平均値を持ち出す必要はありません。商品も価格帯も客層も違えば、同じ物差しを当てる意味は薄いためです。

いちばん素直な相手は、過去の自分です。同じ段の以前の通過と今の通過を並べ、他の段が変わっていないのにその段だけ薄くなっていれば、原因はその段にあると判断できます。

薄くなり始めた時期も、あわせて見ます。その時期に自分が何を変えたか、外側で何が変わったかを並べると、原因の候補は数個まで絞り込めるはずです。

以前の数字が残っていない場合、この比べ方は使えません。その場合は、次の比べ方に進みます。

比べ方その二。段どうしを並べ、求める行動の重さと照らす

導線を先へ進むほど、そこに残っている人の関心は強くなります。なぜなら、前の段を自分の意思で通り抜けた人だけが、次の段に立っているからです。

したがって、通過の割合は下流の段ほど厚くなるのが自然な形です。関心の強い人だけが集まっているはずの段で大半が引き返しているなら、それは不自然な落差だと言えます。

もう一つ照らすのは、その段が読み手に求めている行動の重さです。無料で受け取る、数分の文章を読むといった軽い行動しか求めていない段で人が止まるなら、その段は疑わしい。

逆に、お金を払うという重い行動を求める段の通過が薄いことは、それ自体では異常と言えません。軽い行動しか求めていないのに人が進まない段を、最優先で疑います。

この二つの比べ方には、外部の基準値が要りません。自分の導線の中だけで、不自然さの有無を判断できるからです。

実際の判断は、たとえばこう進みます。ある講座運営の導線では、接点から登録への通過も、登録から案内へ進む通過も保たれていました。

一方で、案内を最後まで読んだ人が申込の入口を開く段だけが、他と比べて明らかに薄い状態でした。この段で求めていた行動は、入口を開いて条件を確かめることであり、支払いそのものではありません。

関心が強いはずの下流であり、しかも求める行動は軽い。この二点が重なった時点で、直す候補はその一段に決まります。実際に見直すと、案内の終わりで次に何をすればよいのかが示されないままでした。

手を入れたのは、その一箇所だけです。他の段は、通過が保たれている以上、今回は触る理由がなかったからです。

上から順に見て、最初の不自然な段で手を止める

比べ方が決まったら、次は見る順番です。順番を間違えると、正しい比べ方をしていても誤った段を直すことになります。

下流の数字は、上流が細いままでは信用できない

上から順に見て、最初に不自然な落差が出た段で手を止める。それが今回直す一段です。

上流から見る理由は、母数にあります。上流が細ければ、下流の段を通った人はごくわずかになり、その割合は数人の増減で大きく揺れてしまうからです。

案内ページを訪れた人が数えるほどしかいない段階で、そこの通過が高いか低いかを論じても、判断の材料にはなりません。まず上流を直し、下流の数字が意味を持つ状態を作るほうが先です。

不自然な落差が二つ以上見つかったときも、扱いは同じです。上にあるほうを先に直し、下は順番が来るまで手をつけずに置いておきます。

落差が出た段の、一つ上を疑うとき

ただし、落差が出た段そのものが壊れているとは限りません。その段の中身を何も変えていないのに通過だけが薄くなった場合は、上の段から入ってくる人の顔ぶれが変わった疑いがあります。

見分け方は単純です。同じ段の通過を、流入元ごとに分けて並べる。ある流入元から来た人だけ通過が薄ければ、壊れているのはその段ではなく、集め方のほうだと分かります。

この状態で案内の文章をいくら書き直しても、数字は戻りません。直す対象は、届いた人ではなく、届け方になります。

集客と教育と販売を一続きの設計として見る必要があるのは、こうした場面です。段だけを見ていると、隣から流れ込んでくる原因を見落とします。

数字がまだ取れていないときの、最初の一手

ここまでは、境目の数字が手元にある前提で進めてきました。実際には、数字がまだ取れていない状態から始まる場合も多いはずです。

境目ごとに、進んだかどうかの印を一つ置く

数字がなくても、順番は変わりません。最初にやることは改善ではなく、段と段の境目に「人が進んだかどうかを見分けられる印」を一つずつ置くことです。

印は凝ったものでなくて構いません。登録が済んだか、送った文章が開かれたか、案内のページまで来たか。境目ごとに一つあれば、落差は見えてきます。

すべての境目に一度に印を置く必要もありません。上流から順に見るのですから、まずは最初の境目だけで足ります。

数が少ないうちは、一人の道筋を最後まで辿る

印を置いても、通る人が少なければ割合は安定しません。この時期に無理やり率を計算すると、偶然の揺れを実力と読み違えることになります。

数が少ないうちは、割合ではなく道筋を見ます。自分の導線を、読み手と同じ順番で最初から最後まで通ってみる。どこで手が止まるかは、通ってみると意外なほど分かるものです。

進まなかった人に直接尋ねられる関係があれば、なお確かでしょう。数字は落差の場所を教えますが、その理由までは教えてくれません。

数が少ない時期は、その理由を一人ずつ集められる時期でもあります。数字が貯まってからでは、かえって聞ける相手が見えにくくなるものです。

明日、机の上でできること

ここまでの内容は、専用の道具がなくても紙一枚から始められます。手順を、そのまま実行できる形に落としておきます。

紙一枚に段を書き出し、分かる数だけ入れる

まず、あなたの導線の段を上から順に縦へ書き出します。接点、登録、案内、販売という具合に、自分の言葉で構いません。

次に、段と段の間に矢印を引き、直近の同じ期間について「入った数」と「進んだ数」を書き込みます。分からない境目には、数字の代わりに「不明」と書き入れます。

不明が並んだなら、それが今の最優先事項です。改善に入る前に、印を置く作業から始まると分かるからです。

直すのは一段、変えるのは一つ

数が入ったら、上から順に矢印を見て、最初に不自然に細い矢印へ丸をつけます。丸は一つだけです。二つ以上つけたくなったときは、上にあるほうを残します。

そのうえで、丸をつけた段が読み手に何を求めているかを書き出し、その行動を取るために足りない材料を一つだけ挙げる。変更も、その一つに絞ります。

変えたあとに見るのは、丸をつけた段の通過だけです。他の段の数字は、順番が来るまで動かさずに置いておきます。

判断を急ぐ必要はありません。その段を新しく通った人が判断に足るだけ貯まってから見比べれば、見立ての当たり外れがそのまま次の材料になります。

どの矢印にも不自然な細りが見当たらない場合もあります。それは手詰まりではなく、壊れている段がないという結果です。

その場合に次へ回すのは、通過ではなく上流に届いている人の数です。導線が保たれているのに成果が小さいなら、原因は各段の性能ではなく、そもそもの規模のほうにあります。

総括:改善は面ではなく、点から始まる

成果が出ないとき、導線の全部を疑う必要はありません。導線は直列につながっているため、一段の細りが下流のすべてを小さく見せてしまうからです。

見るのは各段に残った人数ではなく、段から段へ進んだ通過です。その通過を、過去の自分と、隣り合う段と、その段が求める行動の重さに照らして判断します。

直すべき一段は、いちばん数字が低い段ではなく、隣と比べて落ち方が不自然な一段です。そして上から順に見て、最初に見つかった一段で手を止めます。

明日できることは、紙一枚に段を書き出し、境目の数を入れ、最初の不自然な落差に丸をつけることです。丸は一つだけ。そこから始めれば、次に何が起きても原因を読み取れます。

導線の改善は、面を塗り替える作業ではなく、点を一つずつ直していく作業です。一段が直れば、その下流の数字は、こちらが何もしなくても持ち上がっていきます。

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