フロントエンドとバックエンドとは?利益が生まれる場所

ファネル・ローンチ設計

フロントエンド、バックエンド。商品構成の話をしていると、この二つの言葉が必ず出てきます。

本稿では、この呼び分けを用語の解説としてではなく、どの商品で利益を生むかという設計判断として整理します。読み終えたときに、自分の商品の役割を書き出せる状態を目指します。

フロントエンドとバックエンドとは何か

内輪の符丁のように聞こえる言葉

フロントエンドは入口となる商品、バックエンドはその後に案内する商品を指します。定義としては、これで足ります。

ただ、この説明を聞いても、なぜ分ける必要があるのかは伝わりません。単に商品を並べた順に名前を付けただけに聞こえるからです。

実際、言葉だけを覚えて商品構成が変わらないという状態はよく起こります。名前を知ることと、その考え方を使えることの間には距離があります。

分ける目的は、呼び分けることではない

この二つを分ける目的は、商品に肩書きを付けることではありません。それぞれの商品に何を期待するかを、あらかじめ決めておくことです。

入口の商品に期待するのは、まだこちらを知らない人と出会うことになります。後ろの商品に期待するのは、深く関わって成果まで届けることです。

期待が違えば、価格の決め方も、告知の仕方も、評価の基準も変わります。呼び分けが役に立つのは、それぞれに別の判断基準を持ち込めるようになったときだけです。

逆に言えば、二つとも同じ基準で見ているうちは、名前を付けた意味がありません。ここが、用語を覚えただけで終わるかどうかの分かれ目でしょう。

実務では、この分かれ目は月次の振り返りに現れます。すべての商品を売上と利益率だけで並べていれば、基準は分かれていないことになります。

入口の商品と後ろの商品が同じ表の中で比較されているとき、入口の商品は常に見劣りします。そして見劣りする商品は、たいてい縮小の対象になっていきます。

縮小すれば、新規と出会う経路が細くなります。基準を分けないまま最適化を進めると、入口から順に閉じていくという結果になるのです。

一つの商品に全部を背負わせると、数字が壊れる

価格を上げれば売れず、下げれば赤字になる

商品が一つしかない場合に何が起きるかを見ていきます。その一つで、新しい人と出会い、同時に利益も出さなければなりません。

出会う数を増やすには、価格を下げるか、告知にお金を使う必要があります。どちらも、その商品から得られる利益を削る方向に働きます。

一方、利益を確保するには価格を上げることになります。ところが価格が上がれば、初めての相手にとっては手が出しにくくなり、出会える数が減ります。

価格を上げれば売れず、下げれば利益が残らない。一つの商品に二つの役割を負わせると、この板挟みから抜けられなくなります。

制約が二つ同時にかかっている状態

ここで起きているのは、能力や努力の問題ではありません。同じ変数に、逆向きの要求が二つかかっているという構造の問題です。

価格という一つのつまみで、出会える数と利益の両方を最適にしようとしている。数学的に言えば、解が存在しにくい形になっています。

そして、この状態にいると打ち手が見えなくなります。値上げも値下げも片方を悪化させるため、どちらにも動けないからです。

抜け道は一つで、つまみを増やすことになります。役割の違う商品を置けば、出会うための価格と、利益を出すための価格を別々に決められます。

なお、個々の商品の価格をどう決めるかについては、記事「サービスの価格はどう決める?「足場」から考える」で扱いました。本稿は、どの商品で利益を取るかという配置に絞ります。

つまみを増やすと言っても、いきなり二つ作る必要はありません。いまある商品を入口として位置づけ直し、その先に置くものを考えるという順序でも足ります。

すでに買ってくれた人が次に困っていることが分かっていれば、後ろに置くものの見当は付きます。作る前に決めるべきなのは、中身ではなく役割のほうです。

役割が違えば、評価する基準も変わる

入口の商品は、出会える数で見る

役割を分けると、それぞれの商品を見る基準も変わります。ここが実務では最も効いてくる部分でしょう。

入口の商品を評価するとき、見るのは利益率ではありません。その商品を通じて何人と出会えたか、そして出会った人がその後どう動いたかです。

利益率だけで判断すると、入口の商品は常に成績の悪い商品に見えます。役割が違うものを同じ物差しで測っているためです。

もっとも、入口の商品なら赤字でよいという話でもありません。見るのは単体の利益ではなく、そこから先へ進んだ人まで含めた合計です。

後ろの商品は、どこまで役に立てたかで見る

一方、後ろの商品を評価する基準は、成約数ではありません。その商品を受け取った人が、どこまで到達できたかになります。

ここで数を追うと、無理のある案内が増えていきます。まだ準備の整っていない人にも勧めることになり、成果が出ない人が増えるからです。

届かなかった相手は、次の案内も自分向けではないと受け取ります。後ろの商品で数を追うことは、その先の関係を細くする行為になります。

だからこそ、後ろの商品では対象を絞る判断が正しく働きます。合わない人を丁寧に外すほど、受け取った人の成果は上がっていくのです。

この二つの基準は、案内の書き方にも影響します。入口の商品では間口を広く書き、後ろの商品では合う人と合わない人をはっきり書き分けるという形です。

同じ書き手が、商品によって書き方を変える。一貫性がないように見えますが、それぞれの役割に沿った結果として自然に変わっています。

売り切り一本を、毎月ゼロから積み直す

既存客がいるのに、次に渡すものがない

商品が一つの状態を続けていると、別の問題も現れます。すでに買ってくれた人に、次に渡すものがないという状態です。

その人は、こちらの仕事を知り、成果も体験しています。信頼という点では、新規の相手とは比べものにならない位置にいるでしょう。

それでも、渡せるものがなければ関係はそこで止まります。最も届きやすい相手に対して、何も届けられないという状態になるのです。

そして、その人の側でも困りごとは次の段階へ進んでいます。一つ解ければ、たいてい別の課題が見えてくるからです。

その課題を解ける相手を、その人は探し始めます。こちらに用意がなければ、探し先は他所になります。

結果として、毎月の売上は毎月の新規獲得だけで作ることになります。前月までの積み上げが、次月に効いてこない形です。

この形は、続けるほど不利になります。事業の年数が増えても、毎月の出発点はいつも同じ場所だからです。

五年続けた事業者と、始めたばかりの事業者が、同じ土俵で新規を取り合う。積み上げてきたはずの信頼が、売上の形には反映されない状態と言えます。

伸びない原因が、集客の側に見えてしまう

この状態で売上を伸ばそうとすると、視線は集客へ向かいます。新規の数が売上に直結しているため、原因もそこにあるように見えるからです。

そして集客に手を入れると、実際に少しは伸びます。この手応えがあるため、構造そのものを疑う機会は訪れません。

疑う機会が来るのは、集客をこれ以上増やせなくなったときです。時間か費用のどちらかが上限に当たり、それでも売上が足りないという場面になります。

その段階になって初めて、商品構成へ目が向きます。ただ、そこから作り始めると、形になるまでに数か月かかります。

加えて、集客を増やす方法にはたいてい費用がかかります。費用をかけた分だけ、一つしかない商品の利益は削られていくでしょう。

商品が一つの構造では、伸ばそうとするほど利益が薄くなるという方向にしか進めません。

「商品は一つでやりたい」という考え方

分けるのは商品の数ではなく、役割

ここまで読んで、商品を増やしたくないと感じた方もいるはずです。作る手間も、管理する手間も増えるからです。

この点は、はっきりさせておきます。分けるべきなのは商品の数ではなく、それぞれに期待する役割のほうです。

いま一つしかないのであれば、その一つが二役を負っていると自覚するところから始まります。自覚があれば、価格の板挟みが能力の問題ではないと分かるからです。

そのうえで、増やすかどうかは事業の状況で決めれば足ります。役割を意識せずに一つで回している状態と、意識したうえで一つを選んでいる状態は、まったく違います。

後者であれば、価格の板挟みが起きたときに何が起きているかを説明できます。説明できる問題は、条件が変われば解けるからです。

加えて、増やすときの形も一つではありません。まったく別の商品を作らなくても、いまの商品を分割したり、続きの支援を用意したりする形で役割は分けられます。

後ろに高額商品を置くことは不誠実か

もう一つの引っかかりは、後ろに高い商品を用意することへの抵抗でしょう。入口で釣って高いものを売るように感じられるからです。

この懸念が当たるのは、一つの場合に限られます。後ろの商品を売るために、入口の商品の中身をわざと薄くしたときです。

逆に、入口の商品が単体で完結していれば、話は変わります。そこで満足した人にとって、続きがあることは選択肢が増えることを意味します。

判定は単純で、入口の商品だけを受け取って終わった人が、それで十分だったと言えるかどうかです。言えるなら、後ろに何を置いても不誠実にはなりません。

この判定は、実際に確かめることもできます。入口の商品だけを買って、その先へ進まなかった人に感想を聞けばよいからです。

「これだけでも役に立った」と返ってくるなら、条件は満たされています。逆に「続きがないと使えない」と言われたなら、直すのは案内ではなく入口の中身です。

商品一覧に、二つの列を書き込む

単体で利益が出ているか

最後に、自分の商品で配置を見る作業を置いておきます。書き出す場所さえあれば、20分ほどで終わります。

まず、いま扱っている商品をすべて書き出します。無料の提供物も含めて構いません。

次に、それぞれの右に一つ目の列を作り、その商品が単体で利益を出しているかを書き込みます。厳密な計算は要らず、出ている・とんとん・出ていないの三段階で足ります。

ここで見たいのは黒字か赤字かではなく、利益を出す役割を担っている商品がどれなのかという配置です。

この商品の後に、続く商品があるか

二つ目の列には、その商品を買った人に次に案内するものがあるかを書きます。ある場合はその商品名を、ない場合は空欄のままにしてください。

書き終えたら、二つの列を並べて眺めます。見るのは、両方が空欄になっている商品があるかどうかです。

単体で利益が出ておらず、次に続く商品もない。この状態にある商品は、役割が決まっていないまま置かれていることになります。

逆に、すべての商品で一つ目の列が「出ている」になっていた場合も、確かめる点があります。入口の役割を担う商品が存在せず、新規と出会う経路が細くなっている可能性があるからです。

この二列は、次の商品を作るときの判断にも使えます。作ろうとしているものが、どちらの役割で入るのかを先に決められるからです。

役割が先に決まっていれば、作る途中で迷う場面も減ります。入口として作るなら手に取りやすさを優先し、後ろとして作るなら到達点の深さを優先する、という形で判断がそろうからです。

中身を作り始めてから役割を考えると、どちらつかずの商品になります。

どちらつかずの商品は、入口としては重く、後ろとしては物足りないという位置に落ち着きます。実際、二列がどちらも空欄になる商品の多くは、この作られ方をしています。

総括:どこで利益を生むかを決めることが、商品設計の入口

本稿では、フロントエンドとバックエンドを呼び分けの問題ではなく、それぞれに何を期待するかという役割の問題として整理しました。名前を覚えても、判断基準が同じままでは何も変わらないからです。

商品が一つしかない状態では、価格という一つのつまみで出会える数と利益の両方を決めることになります。逆向きの要求が同じ変数にかかるため、どちらにも動けなくなります。

入口の商品は出会える数で評価し、後ろの商品はどこまで役に立てたかで評価する。基準を分けることが、役割を分ける実質です。

後ろに高額の商品を置くことが不誠実になるのは、それを売るために入口の中身を薄くした場合だけでした。入口が単体で完結していれば、続きは選択肢として働きます。

明日その場でできることは、扱っている商品を書き出し、単体で利益が出ているかと、次に続く商品があるかの二列を書き込むことでしょう。所要時間はおよそ20分です。

両方が空欄の商品が見つかったら、それが役割の決まっていない商品になります。まず、その一つをどちらの役割で使うかを決めてください。

決めた後の作業は、その役割に合わせて価格と案内を整えるだけです。新しく何かを作る必要は、この段階ではありません。

集客と教育と販売のうち、販売の設計はこの配置から始まります。どこで利益を生むかが決まっていなければ、価格も、告知の予算も、決めようがないからです。

逆に、配置さえ決まっていれば、後の判断はぶれません。入口の商品にいくらまでかけられるかは、後ろの商品から得られるもので決まるからです。

逆に、上限が見えていない状態で広告を出すと、いくらまでなら妥当なのかを判断できません。数字が動いても止めどきが分からないという状態になります。

この順序を踏んでおくと、広告を出すかどうかの判断も落ち着いて下せます。かけられる上限が先に見えているためです。

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