同じ商品なのに、片方のLPは申し込みにつながり、もう片方はすぐ離脱される。この差を多くの方はデザインや文言の巧拙に求めますが、大半はもっと手前の「並び順」で生まれています。本稿では二つの並びを同じ講座の画面で見比べ、自分のLPがどちら側かを判定する手順までお伝えします。
ボタンの色を替えても、反応が変わらない
実際に受けた相談に、こういうものがあります。反応の鈍いLPのボタンの色や文言を何度も差し替えたのに、状況がほとんど変わらないという内容でした。打ち手そのものは間違っていないのに、効かない場所へ打ち続けていた形です。
手を入れていた場所と、直すべき場所がずれていた典型です。細部の調整が効くのは、その手前の条件が満たされているときに限られます。
ずれが起きやすいのには理由があります。ボタンや色は目に付きやすく、差し替えの作業も小さいため、最初の打ち手に選ばれやすいからです。
一方、並び順の崩れは、作った本人には見えにくいものです。書いた側は全体の文脈を頭に持っているため、どの画面から読んでも意味が通ってしまいます。
その条件とは、読み手が興味を持ち、信用し、行動するまでの心理的な順序を、LPの構成が守れているかどうかです。人は知らない相手からの提案を、この順で受け取ります。
順序が逆転しにくいのには理由があります。信用の無い段階での行動には損の可能性が乗るため、材料が揃うまで動かないことが、読み手にとって最も安全な選択になるからです。
ただし、「順序が大事」とだけ言われても、自分のLPを見直す道具にはなりません。比べるための軸を、先に一本立てておきます。
比べる軸は「次の一画面を読む理由を、直前に渡しているか」
本稿で二つの並びを比べる軸は、これです。それぞれの画面が、次の一画面を読む理由を直前に渡しているかどうか。
なぜこの一本で比べられるのか。LPは最初から最後まで読むと決めて開かれる文書ではなく、一画面ごとに「続きを読むか、閉じるか」の判定を受けながらスクロールされていくためです。
だから、全体の完成度より一画面ごとの接続のほうが、離脱の位置を直接決めます。判定は画面単位で起きているのに、直すときだけ全体を眺めるから、直す場所を外すわけです。
デザインや文言の巧拙を軸にしない理由も添えておきます。巧拙は同じ並びの中での優劣しか説明できず、並びが違う二つのLPの差を説明できないためです。ここから、二つの並びをこの軸に当てていきます。
急がせる並び——価格から始まるLPで起きること
読み手は価格ではなく、物差しの不在で離脱する
一つ目は、早く決断させることを優先した並びです。ある講座のLPを例にすると、最初の一画面に講座名と受講料、早期割引の案内が置かれています。
次の画面にカリキュラムと講師紹介が続き、よくある疑問への答えは申し込みボタンよりさらに下にあります。読み手は判断材料を受け取る前に、金額と向き合わされる形です。
身近な例に置き換えると、届いたメールの一行目が商品名と「新登場」の一言だった場面に似ています。多くの人が中身を読まずに閉じるのは、内容が悪いからではなく、読む理由を受け取る前に売り込みが始まったからです。
作る側がこの並びを選ぶ理由も、分かってはいるのです。伝えたいことの一番手前に商品があるため、素直に書くと商品から始まってしまいます。
この並びでは、最初の一画面が最も重い関門になります。ただし、止まる理由の読み違えに注意が要ります。
読み手を離脱させているのは価格そのものではなく、その金額が高いか安いかを判断する物差しを、まだ受け取っていないことです。物差しの無い人が選べる最も安全な判断は、「今は決めない」になります。
先ほどの軸に当てると、この並びは最初の接続が切れています。講座名と価格は、それを探しに来た人にしか「次を読む理由」を渡せないからです。
急がされた買い物は、買った後の評価まで変える
この並びの弱さは、離脱率だけでは終わりません。仮に申し込みが取れた場合にも、後遺症が残ります。
判断材料が揃う前に急かされて決めた買い物には、「本当にこれでよかったのか」という問いが残ります。その問いを抱えたまま商品を受け取ると、評価の基準が中身から離れていきます。
よく考えずに決めたという感覚は、不満の種を探す読み方を生みやすいためです。急がせる並びは短期の反応を取れても、長期の信頼を積み上げにくい構造を抱えています。
ここで、「早く商品を伝えなければ離脱されるのではないか」という心配も出るはずです。実際には逆で、読み手が離れるのは説明が遅いからではなく、その説明を読む理由がまだ渡されていないからです。理由さえ渡っていれば、読み手は長い説明でも進みます。
順序を踏む並び——同じ四つの要素で到達点が変わる
画面ごとの並び:状況→理由→商品の関わり→疑問への答え
二つ目は、同じ講座を順序で並べたLPです。載せる要素は、読み手の状況の描写・その状況が起きる理由・商品がどう関わるか・疑問への答えの四つで、先ほどと総量はほとんど変わりません。
1画面目に来るのは、読み手の状況の描写です。「学ぶ意欲はあるのに、何から手をつければよいか分からないまま時間だけが過ぎている」。自分の話だと判定できた人だけが、次へ進みます。
ここで講座の名前はまだ出てきません。出さないのは、この時点の読み手にとって講座名が「次を読む理由」にならないからです。
2画面目が担うのは、その状況が起きている理由です。手順を知らないからではなく、集客から販売までの順序を設計していないから、という説明がここに入ります。
理由を先に受け取った読み手は、「だからうまくいかなかったのか」と納得の側から自分の状況を眺め直せます。この納得が、商品の話を聞く姿勢を作ります。自分の問題の正体が分かった人は、解決の道筋を自分から知りたくなるためです。
講座がその順序をどう渡すのかに触れるのは、3画面目に入ってからです。4画面目で想定される疑問に答え、そのうえで価格と申し込みの案内が現れます。
軸に当てると、各画面の末尾が次の画面の問いを作っています。状況の描写は「なぜそうなるのか」を、理由は「ではどうすればよいのか」を、それぞれ次を読む理由として残すからです。
情報の総量は同じでも、価格に出会う位置が違う
二つの並びの違いを、一点に絞るとこうなります。読み手が価格に出会う時点で、判断の物差しを持っているかどうかです。
順序を踏んだ並びなら、受講料に触れる頃には、自分の状況・その理由・解決の道筋が手元に揃っています。同じ金額でも、それが何に対する対価かを判断できる状態です。
離脱の位置も変わります。急がせる並びでは1画面目に離脱が集中するのに対し、順序を踏む並びでは「自分の話ではない」と気づいた人が早めに離れ、残った人は深く読み進みます。同じ離脱でも、後者は宛先の選別として働いている点が違います。
順序を確かめる目安も一つ置けます。読み手が価格を目にする時点で、その人が抱くはずの疑問がすでに答えられているか。答えの前に金額が来ていたら、その位置が並びの崩れです。
信用は、根拠の提示と疑問の解消の積み重ねでしか積み上がりません。説明をただ長くすることとは違います。読み手の疑問と無関係な話をいくら足しても、接続は生まれないためです。
自分のLPがどちら側かを判定する——主語の点検
手順:1画面ずつ、渡しているものと主語を書き出す
ここまでの軸を、自分のLPに当てます。用意するのは自分のLPと紙一枚で、所要は20分ほどです。
手順は二つあります。一つ目は、LPを上から1画面ずつスクロールし、その画面が四つの要素(状況・理由・商品の関わり・疑問への答え)のどれを渡しているかを一言ずつ書き出すことです。
どの要素にも当てはまらない画面が出てきたら、そこにも印を付けておきます。実績の羅列や理念の表明など、読み手の判定に使われない画面は、接続を切る側に働いていることが多いためです。
二つ目は、冒頭の数行・中盤の根拠・終盤の申し込み導線という三か所について、それぞれの文の主語が読み手の側にあるか、自分の側にあるかを書き分けることです。主語は、並びの崩れを機械的に見つけられる手がかりになります。
最初の数行の主語が講座名やサービス名なら、そこは自分の話から始まっています。中盤の主語が「私たちは」ばかりなら、読み手の疑問ではなく自分の言い分を並べている可能性が高い形です。
終盤だけは、主語が読み手の側に戻っているのが自然になります。行動を選ぶのは読み手だからです。
判定後の直し方
書き出した結果は、だいたい三つに分かれます。それぞれ直す場所が違います。
冒頭に価格や商品名が来ていた場合は、1画面目を読み手の状況の描写へ入れ替えます。削るのではなく、順番を後ろへ送るだけで済みます。
並びは合っているのに中盤で書き出しが止まった場合は、理由と疑問への答えが痩せています。実際に多いのはこちらで、冒頭で興味を引けても、価格までの間に信用の材料が足りていません。ここに足すのは、相談の場で繰り返し聞かれた質問への答えが最適です。
四つの要素がすべて書き出せて主語も整っていたなら、並びは合格です。そのときはじめて、文言や見た目の調整が効く段階に入ります。
直した後の見方も決めておきます。通しで読んで、画面の変わり目に「なぜ急にこの話になるのか」という引っかかりが無いかを確かめてください。引っかかりの位置が、接続の切れている場所です。
できれば、書いた本人以外の一人に同じ通し読みを頼んでみてください。本人は文脈を補って読んでしまうため、接続の切れ目は他人の目のほうが正確に見つかります。
期限や特典が悪いのではなく、置く位置の問題
最後に、急がせる並びと混同されやすいものを切り分けておきます。期限や特典そのものは、誤りではありません。
問題は位置です。信用が積み上がる前の段階で期限を迫ると、読み手には「考えさせずに決めさせたいのだろう」という警戒だけが残ります。同じ期限でも、判断材料が揃った後に置かれれば、決断の後押しとして働きます。
「今すぐ」「残りわずか」という言葉に接して思わず身構えた経験は、誰にでもあるはずです。急かされるほど疑いが立つのは、判断材料の不足を勢いで埋めようとする意図が透けるためです。
避けたいのは、信用の工程を省いた埋め合わせとして、煽りの言葉を強めることです。反応が鈍いときに「今すぐ」「限定」を足すほど、読み手の警戒はさらに強まります。直すべきは言葉の強さではなく、並びのほうです。
そもそもLPは、集客から販売へ続く導線の最後の一区間にすぎません。前段の発信で信頼が積み上がっているほど、LPが担う説得の量は減ります。LPだけで全部を決めようとする設計自体が、急がせる並びを生みやすいとも言えます。
逆に言えば、LPの中盤が長くなりすぎるときは、前段の発信で渡せていない材料が多すぎる合図です。直す場所がLPの外にある場合も含めて、並びの点検は導線全体の健康診断として使えます。
総括:売れるLPは、テクニックでなく順序で作られる
本稿では、二つのLPの並びを一本の軸で比べました。それぞれの画面が、次の一画面を読む理由を直前に渡しているかどうかです。
急がせる並びは、物差しを渡す前に価格と向き合わせるため、読み手は最も安全な「今は決めない」を選びます。仮に売れても、急がされた感覚が買った後の評価を下げます。
順序を踏む並びは、状況・理由・商品の関わり・疑問への答えの順で、各画面が次を読む理由を残します。載せる情報の総量は同じでも、価格に出会う位置が変わることで、到達点が変わります。
判定は20分でできます。1画面ずつ渡しているものを書き出し、三か所の主語を確かめる。結果に応じて、1画面目の入れ替えか、中盤の補強かが決まるため、闇雲な書き直しに時間を使わずに済みます。
期限や特典は、信用の後ろに置けば後押しとして働きます。反応が鈍いときに強い言葉を足すのではなく、並びを直すのが先です。
売れるLPの条件は、読み手が納得へ歩く順序を、構成がそのままなぞっていることです。明日できる最小の一歩として、自分のLPの最初の3行だけを読み返し、主語がどちら側にあるかを確かめてみてください。
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