集客チャネルの優先順位を調べると、正解の順番がどこかにあるように思えてきます。実のところ、チャネルは何を先に要求するかで三つに分かれ、いま揃っているものによって着手できる先が変わります。本稿では三つの見分け方と扱いを整理し、自分がどれから始めるかを決めるところまで扱います。
「どの媒体からやるべきか」に絶対の正解がない理由
語られる成功例には、必ず条件が付いている
情報を集めていると、断定的な主張に出会います。いまはこの媒体しかない、あの媒体はもう終わった、という形です。
こうした主張の多くは、語り手自身がうまくいった条件から出ています。制作に割ける時間、扱う商材、すでに持っている接点。
条件が違えば、同じ媒体でも結果は変わります。同じ動画でも、週1時間しか使えない人と毎日3時間使える人では、まったく別の取り組みになるからです。
もう一つ、目に入る事例には偏りもあります。うまくいかなかった側は語られないため、成功例だけが残るという構造です。
そして条件は、時間が経つと変わります。数年前にうまくいった条件が、いまも同じとは限りません。
一括りに「優先順位」と呼ぶと、打ち手が決まらない
では条件を考えればよいのかというと、そこにも難しさがあります。考えるべき条件が多すぎるためです。
時間、資金、得意不得意、事業の段階、蓄積されるかどうか。並べていくほど、判断は遠のきます。
必要なのは条件を増やすことではなく、チャネルの側を先に分類して、選択肢そのものを減らすことです。
そこで本稿では、集客チャネルを三つに分けます。分けること自体が目的ではなく、それぞれで先にやることが違うためです。
三つに分けると、いま着手できるものと、まだ着手できないものが分かれます。分類の目的は、選ぶことではなく除くことです。
分ける基準は、そのチャネルが何を先に要求するか
始める前に揃っていないと、動かないものがある
三つに分ける前に、なぜこの基準を選ぶのかを説明します。チャネルの動き出し方を見ると理由がはっきりします。
どのチャネルにも、始める前に揃っていないと成果が出ない前提があります。そしてその前提は、チャネルごとに違います。
揃っていないまま始めると、二つのどちらかが起きます。成果が出ないまま費用だけが動くか、成果が出ないまま時間だけが過ぎるかです。
どちらも「そのチャネルが自分に合わなかった」という結論に見えます。実際には、前提が揃っていなかっただけという場合が多くあります。
要求されるものが違えば、着手の順番も変わる
この基準を使う利点は、判断が二段階で済むことにあります。まず揃っているかを見て、揃っていないなら着手しない。それだけです。
ここから類型が出てきます。要求されるものが違えば、いま着手できるチャネルも違うからです。
要求されるものは、大きく三つに分けられます。連れてきた人を受け止める場所、公開した本数の蓄積、そして途切れない頻度です。
この三つは、揃えるのにかかる時間がそれぞれ違います。受け皿は数日で作れますが、本数の蓄積には数か月かかります。
そして揃っていないものが違えば、現れる症状も変わります。三つの見分け方を順に見ていきます。
受け皿を先に要求するチャネル
見分け方は、出した翌日から人が来ること
まず、受け皿を先に要求する側から見ます。広告がここに入る類型です。
このチャネルの特徴は、始めた翌日から人が来ることです。準備の期間がなく、費用を入れた分だけ流入が発生します。
だから、来た人を受け止める場所が先に要ります。連れてきた先が整っていなければ、そのまま戻っていくだけです。
見分けるときは、出稿してから流入までの時間を見ます。数日以内に人が動くなら、この類型に当たります。
費用がかかる分、揃っていないときの損失もはっきり出ます。整っていない受け皿へ人を送ると、その分がそのまま消えるためです。
この場合に、先にやること
この類型の扱いから見ていきます。三つの中では、いちばん短い時間で整えられます。
やるのは、申込までの道筋を先に通しておくことです。新しく作る必要はなく、いまあるものを一度自分で通します。
広告を見た人が最初に着く場所から、申込を終えるまで。実際にクリックして、最後まで進んでみます。
ここで説明が足りない画面が見つかれば、そこが受け皿の穴です。穴を埋めてから出すほうが、同じ費用でも結果が変わります。
では、受け皿が整っているのに動かない場合はどうでしょうか。
本数の蓄積を先に要求するチャネル
見分け方は、1本あたりの寿命が長いこと
次の類型は、受け皿とは要求するものが違います。揃えるのにかかる時間も桁が変わります。
次は、本数の蓄積を先に要求する類型です。検索から見つかる記事や動画がここに入ります。
このチャネルの特徴は、1本の寿命が長いことです。公開した記事は、数か月後も検索から人を連れてきます。
その代わり、1本では動きません。入口が1つ増えただけでは、来る人の数も1つ分にしかならないからです。
見分けるときは、公開から数か月経った1本にまだ人が来ているかを見ます。来ているなら、この類型に当たります。
本数が積み上がるほど、入口の数も足し算で増えていきます。1本増えれば入口が1つ増えるという関係が、この類型の特徴です。
この場合に、先にやること
扱いは、何本まで出すかと、いつまで続けるかを先に決めることです。数字で決めます。
この二つがないと、途中の1本が振るわないだけで判断がぶれます。1本ごとの反応には、テーマの相性や公開の時期が混ざるためです。
目安としては、20本から30本を出すか、3か月から6か月続けるか。先に決めておけば、その途中では評価をしないという判断ができます。
では、蓄積を待つ余裕がない場合はどうでしょうか。
頻度を先に要求するチャネル
見分け方は、止めると流入も止まること
残る一つは、蓄積を待たずに動きます。その代わり、別のものを要求します。
三つ目は、頻度を先に要求する類型です。タイムラインに流れる短文の投稿がここに入ります。
このチャネルの特徴は、投稿した直後に最も見られ、その後は急速に見られなくなることです。新しい1本を出すと、古い投稿は下へ流れます。
だから、本数は積み上がっても入口は増えません。止めた時点で、流入もほぼ同時に止まります。
見分けるときは、投稿を数日止めたときの反応を見てください。落ちるなら、この類型に当たります。
その代わり、反応が返るまでが早いという利点があります。投稿した翌日には手応えが見え、次の1本へ反映できます。
この場合に、先にやること
扱いは、続けられる頻度を先に決めることです。中身より先に、回数のほうを決めます。
回数が決まらないうちに始めると、続かなくなった時点で流入も止まります。この類型では、途切れることが最も大きな損失になります。
ここで見るのは、頑張れば取れる時間ではありません。
1週間の予定表を開き、繁忙期でも削られずに残る時間だけを数えます。朝の30分を週5日なら2.5時間という形です。
この数字が、続けられる頻度の上限になります。上限を超えた頻度で始めると、止まったときに流入も止まります。
ここまでの三つが、集客チャネルの分類になります。次は、自分がどれから始めるかを決めます。
チャネルごとに、1本あたりの手間が違う
三つを分けたところで、もう一つ添えておきます。同じ時間を使っても、チャネルによって出せる本数がまったく違うという点です。
記事は、調べる・構成する・書く・整えるという工程を通ります。1本あたり数時間はかかります。
動画になると、企画・台本・撮影・編集と工程が増えます。同じ1本でも、文章の数倍の時間が要ります。
短文の投稿は、1本あたりの時間こそ短いものの、頻度が求められます。1本の軽さと、続ける総量は別の話です。
週に5時間を前提にすると、記事なら週1本、動画なら月1〜2本、短文なら毎日1本といったところでしょう。同じ資源量でも、実際に出せる本数はチャネルによってまるで変わります。
この数字を先に置いておくと、判定が具体になります。自分の時間で何本出せるかが見えるためです。
そして、この本数の見積もりは頑張れば取れる時間で計算しないことが肝心になります。繁忙期に削られる前提の時間で立てた計画は、繁忙期に崩れます。
見るのは、1週間の予定表のうち他の予定に左右されずに残る枠だけです。朝の30分を週5日なら2.5時間、休日の午前をまるごと使えるなら3〜4時間。この数字が現実の上限になります。
自分がどれから始めるかを決める
二つの数字を書き出す
三つの類型が出そろいました。ここからは、自分がどれから始めるかを決めます。
用意するのは、二つの数字だけです。
一つ目は、1週間のうち制作に確実に充てられる時間です。繁忙期でも削られない分だけを数えます。
二つ目は、いまどの工程で詰まっているかになります。訪問も登録も伸びないなら集客、登録は増えるのに反応が薄いなら教育、商談まで進むのに決まらないなら販売です。
紙に二行書くだけで足ります。かかるのは15分程度です。
見分けるのは難しくありません。細かい数字は要らず、どこで止まっているかが分かれば足ります。
判定と、複数に当てはまったとき
結果は三つに分かれます。それぞれ始める先が変わります。
詰まりが集客以外にあるなら、どのチャネルも増やしません。受け皿か、届ける中身の順序を先に直します。
詰まりが集客にあり、週に確保できる時間が5時間を下回るなら、頻度を要求する類型は避けます。止まったときに流入も止まるため、時間の少ない状態では続きません。
時間があり、資金にも余裕があるなら、受け皿を確かめたうえで広告から始められます。時間はあるが資金がないなら、本数の蓄積を要求する類型から入ります。
複数に当てはまった場合、同時には始めません。限られた時間を分散させると、どのチャネルも判断できる本数に届かないからです。
先に一つを決めて、本数と期間を使い切ってから次を足します。順に進めるほうが、結果として早く形になります。
もう一つ、資源には配分すると別のことに使えなくなるという性質があります。限られた時間を複数へ薄く分散させると、どれも判断できる本数に届きません。
だから、増やす前に決めるのは順番です。同時に立てないというだけで、一つあたりに使える時間は倍以上になります。
もう一つ決めておきたいのが、いつ判断するかです。20本まで出すのか、3か月続けるのか。先に区切りを置けば、途中の1本が振るわなくても揺れません。
数本で判断できない理由もはっきりしています。1本ごとの反応には、テーマの相性や公開の時期が混ざるためです。
逆に、区切りまで出し切ったなら、そこで判断してよいことになります。続けるかどうかを迷い続ける時間が消えるという点も、先に決めておく効き目です。
三つの類型は、どれかが優れているという関係にもありません。揃えるのにかかる時間が違うだけで、いずれ全部を使う可能性があります。
総括:優先順位は、外から与えられるものではない
本稿では、集客チャネルを三つに分けました。分ける基準は、そのチャネルが何を先に要求するかという一点です。
この基準になる理由は、揃っていないまま始めると成果が出ず、それが「自分には合わなかった」という誤った結論に見えるためです。
受け皿を先に要求するチャネルは、出した翌日から人が来ます。本数の蓄積を要求するチャネルは、1本の寿命が長い代わりに1本では動きません。頻度を要求するチャネルは、止めると流入も止まります。
先にやることも類型ごとに決まっています。受け皿なら申込までを自分で通し、蓄積なら本数と期間を数字で決め、頻度なら削られない時間だけを数えます。
どれも媒体を増やす作業ではなく、始める前に揃っていないものを先に埋める作業です。
今日できるのは、1週間のうち削られずに制作へ充てられる時間と、いま詰まっている工程を二行で書き出すことです。15分ほどで終わります。
詰まりが集客以外にあるなら、チャネルは増やしません。集客にあるなら、書き出した時間の量が始める先を決めます。
この二行があると、次に「いまはこの媒体が伸びている」という情報に触れたときの読み方が変わります。優先順位は外から与えられるものではなく、その二行から導かれるものだからです。
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